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「みにくいアヒルの子」

9月15日は私にとってブロードウェイデビューの記念日でした。4年前にリンカーンセンターにて渡辺謙さん主演のミュージカル「王様と私」という作品で長年の夢であったブロードウェイの舞台に立つことができました。


日本で生まれ、英語を第二言語として育った人間がまさかあの全米演劇界最高峰のリンカーンセンターの舞台に立たせていただける日が来るとは。


”The Sky is the limit” 「可能性は無限大」です。


ミュージカルというのは「お芝居+歌+踊り」の融合です。そして俳優としてミュージカルの芸を磨く日々というのはまるでパフォーミングアーツのあらゆる芸のボールをジャグリングし続けるようなものです。


踊りのジャンルで言えば、タップ、ジャズ、バレエ、シアターダンス、ヒップホップ、社交ダンス。


歌で言えばクラシカル、ジャズ、コンテンポラリー、ポップなど様々なスタイルの歌。


お芝居の場合は、喜劇、悲劇、古典、そして現代ものだけでも様々な流派の演技法等、幅広い演技のスタイルがあります。


それに加えてヨガ、ピラティス等、まさしくジャグリングの日々です。


TRIPLE THREAT (トリプルスレット)


アメリカのミュージカル界では「歌って踊って芝居もできる」パフォーマーのことを"Triple Threat(トリプルスレット)"と呼びます。Tripleは「3倍」、Threatは「脅威」という意味で、「歌x芝居x演技すべてをこなせる脅威的な存在」という意味です。


昔のブロードウェイ作品では歌専門、演技専門、踊り専門と同じ作品の中でも役割が分かれていましたが、昨今の作品は「歌、踊り、芝居、全てができるTriple Threat」を必要とする構成の舞台が増え、俳優のレベルも益々上昇しています。


私にとって舞台と出会うきっかけであり、演劇人生の原点となったのはバレエです。幼少期お世話になった金沢シティバレエ団には「全身全霊で表現する喜び」を教えていただきました。


「みにくいアヒルの子」




10歳の時、大好きなバレエの先生が愛情込めて「みにくいアヒルの子」の物語をベースに構成と振付をしてくださったバレエ作品で私は「みにくいアヒルの子」役を演じさせていただきました。そして今年の発表会で久々にこの作品が再演されるというお知らせを受け、懐かしい思い出が蘇ってきました。


このアンデルセンの物語をあらためて紐解いてみると、たくさんの大切なメッセージが込められていることに気づます。


私たちはどのようにして『みにくい』『美しい』を決めるのでしょうか。


「みにくいアヒルの子」にとって「周りと違う」ということはコンプレックスでありそれを「みにくい」と感じざるを得ませんでした。しかし、それまでの領域を飛び出し「違い」を「自分にしかない個性」という視点に変えることで世界は大きく変わります。


私が長年追いかけた「ミュージカルの本場ブロードウェイの舞台に立ちたい!」という夢も「私にしかない個性」を磨き続けることで叶いました。


ここで、大告白です。ジャジャン。


私の顔にはたくさんソバカスがあります。高校のころ先輩に「おまえは雑巾みたいな顔をしている。」と揶揄われた記憶もあります。


日本の美の水準は「シミひとつない完璧な美白陶器肌」。そばかすはコンプレックスのひとつでした。


しかしアメリカに来てみるとソバカスは憧れられるほどのチャームポイントということを発見!友人や同級生にもソバカスを褒めてもらうようになってコンプレックスであったソバカスは「私ならではユニークさ」に変わっていきました。私のソバカスは変わっていません。「捉え方=視点」が変わっていったのです。